2020.1.6

年頭所感

2020年の年頭に当たり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 
2019年は事業基盤の強化・拡大に向けた資金調達(シリーズC)により、新たな株主様との出会いの機会もいただき、優秀なメンバーの採用、戦略・経営判断の「精度」を高めるため経営陣の強化、ガバナンス体制の強化を実施することが出来ました。また、シタテルの新しいプロダクトが本格的なマーケットフィットに向けて、着実に前進していることを実感した年でした。
一方で「成長痛」としてミッション「ひと・しくみ・テクノロジー」のひとつである「人」の部分には課題を残し、組織内での情報のギャップや違和感を感じるシーンも多く「組織の設計(デザイン)」の課題が見えた1年でもありました。
 
2020年、衣服産業においては、情報の多様化に伴う「ニーズの細分化」が更に加速し、企業やブランドは自ら想像(創造)出来るオリジナリティと、消費者サイドの購買リテラシーも向上する現在においてもなお過剰供給と需給のギャップによりロス(販売機会と在庫)は肥大化し収益性が低下する悪循環の事象対応が見受けられ、サスティナブルな事業を実現する「設計」と、それを実行する「アジェンダ設定」が必須となってきます。それは単に効率化を図る、データに基づき合理的に動くということだけではなく、「不確実性」に対応出来る企業の組織デザイン・体制づくりもセットで必要となってくると思われます。
 

マーケットについて(デジタルエコノミー)

まず消費者の「買い方の変化」として、多くの電子マネー事業者の群雄割拠による覇権争いや、企業においてはサプライチェーンの最適化に向けた「デジタルシフト(DX)の動き」が見えてきました。
デジタル化が加速する中で、情報は多様化し、企業やブランド側からの一方的なトレンド発信、単一的なアプローチだけでは「衣服に関わる様々な潜在課題を抱える消費者」の購買欲求を動かすことは困難となり、これまでのビジネスにおける合理性や常識が通用しなくなりました。またデータの「質」を高めるという観点からも、MTO(受注生産)の必要性などが一層高まる年になりそうです。
 
そのような中、アパレル事業者も非アパレル事業者も、朧げながらもD2C※1(顧客とダイレクトにコミュニケーションを取り、独自のプロダクト・顧客体験設計を持っている小売事業者)を目指し始めており、コモディティ化した商品群に対して、「魅力的な商品」の台頭が加速する兆しも見えてきています。そこに伴うエコシステム(販売・生産・決済・ロジティクス等)の構築と、様々なコミュニティに対する、新たなコミュニケーションの手段(接点づくり)や、IPなどを活用した商品提案のしくみが必要となってきています。これは決して一過性のトレンドを形成するということではなく、またD2Cプレイヤーに限ったことではないですが、あらゆる「情報」を選択出来るようになった衣服市場において如何にバーティカルで奥行きのある企業、ブランドの魅力(コンテンツ)と、その接点を顧客(participant)と共につくっていく環境を持つことが出来るかが重要になっていきます。
 

シタテルのプラットフォームの進化

今年は衣服産業の変革期。企業、ブランドはこれまでのサプライチェーン(売り方、過剰供給、生産プロセス等)をデジタルシフトするす分岐点となっており、我々もプラットフォームとしての産業、社会的責任は益々高まっています。これからシタテルでは、従来の「マネージドサービス」を主とした事業に加え、2015年にプラットフォーム構想を掲げて以降、これまで蓄積してきた「アセット(データ・ナレッジ・しくみ)」をいくつか機能化し外部の企業へ提供する環境が整って来ました。一足飛びに解決とは行きませんが、これまでの情報の非対称性による、非ネットワーク/非コミュニケーション/非ワークフローとされているアパレル産業に対して、まずは需要と供給の両方にフラグメンテーションを意図的につくり出し、それぞれのチャネル対してサービスを最適に提供し機能化させることで、次のステップに進めることが出来ます。もちろん、その先の新たなネットワークの構築に向けてまだまだ課題は山積していますが、2020年もシタテルは国内初の衣服生産プラットフォームとして、産業課題の解決に向けて、また人々のイマジネーションによる豊かな社会の実現に向けてチャレンジします。
 
2020年、国内外の経済においても様々な変化があると予想されます。日本の民主政治の成熟度合いの低さや中央銀行のファイナンスを時折、経営、組織の未熟さに重ねてしまうこともあり、経済は極めて流動的で視界良好ではありませんが、だからこそ経営者としての成長、事業の成長、組織の成長の機会となり、次の普遍に向けて最も洗練される1年になると考えています。
私自身も経営者として、精度の高い意思決定をするためにデータや数値的な側面を見つつも、不確実性が増す中で時にはドラスティックな判断を行い、この2020年を「飛躍の年」とするべく、シタテル社員一丸となって邁進いたします。
 
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 
シタテル株式会社
代表取締役/CEO 河野秀和
 
 

本件に関するお問い合わせ先

シタテル株式会社 広報担当
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